パチスロを攻略して新たなスタートを切る
Sは調教騎手のF・Jに、いちばん分厚い革のジャケットを着用させ、鞍も特別重いものを使うように指示した。
Jの体重とジャケットと鞍の重さを合わせると517.6キロあった。
つづいてSは、シービスケットをタッグチームを相手にするやり方で鍛えた。
ピオはシービスケットとともにスタートし、しばらく全速力で競い合う。
800メートルをすぎると、疲れ切った。
ピオは離脱し、代わりにアドヴォケイターが相手を務める。
騎手はいまだ決まっていなかった。
サンアントニオパンデ戦の前日、SとHはS・Wをエアリアルクロスという馬に乗せて、名もないレースに出場させた。
彼はみごとな騎乗を見せて勝利した。
するとリガロティの騎手が急遼変更になり、Wは突然、サンアントニオとAの両レースで騎乗が可能になった。
もしかしたらHが息子を口説いて、別の騎手に鞍替えさせたのかもしれない。
しかし依然としてSは、この東部出身の騎手がシービスケットに近づくことを嫌がっていたが、決定をくだすのは彼ではなかった。
翌朝、HはWに騎乗を依頼した。
ただし、まずはサンアントニオパンデ戦に限って、つまりそのレースでいい走りを見せれば、Wはサンタ戦でもシービスケットに騎乗できるというわけだ。
Sはシービスケットの騎乗に関する微妙なポイントを教えこむために、WをPの病床に伴った。
それが混乱の始まりだった。
してさらに800をすぎると、チャンスビューがアドヴォケイターに代わり、最後の200を疾走するのだ。
それは中身の濃い、なんとも過酷な調教で、シービスケットの体重を4.5キロ絞りこんだ。
すっかり上機嫌になったHは、シービスケットがサンアントニオパンデ戦のコースレコードを破るかどうかをめぐり、友人たちとサイドベットを始めた。
Sも「馬はかつてないほど好調だ」と太鼓判を押した。
「人間の手ではこれ以上、いい仕上がりにすることはできないだろう」と彼は断言した。
「あとは騎手の腕ひとつだ」PはWに、シービスケットのクセをすべて話して聞かせ、とくにこの一点を強調した。
絶対に鞭を使うな.そうアドバイスした理由は定かでない。
なぜならB自身はしース中に、いつも2回鞭を入れていたからだ。
おそらく彼はシービスケットに慣れないWが鞭を使いすぎて、馬を怒らせるのが心配だったのだろう。
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